病気や入院等で、車を廃車にしたくてもできない場合は、家族や友人に廃車の手続きを頼む事があります。
そういった場合、当然その車は手続きを行う人とは異なる名義での手続きとなりますので、通常の廃車手続きとは異なる部分がいくつか出てきます。
そこで今回は、他人名義の廃車を行う方法についてご紹介いたします。


廃車における"他人"の定義
通常、契約や解約などに関しては、他人が手続き代行を行う事は出来ませんが、家族であれば代理で行える事が一般です。
しかし、廃車に関してはこの「他人」というカテゴリーに注意が必要なのです。
というのも、廃車に限らず車関係に関しては、所有者名義以外は例外なしに「他人」という扱いになるのです。
たとえ、それが両親や旦那さん、奥さんであっても本人以外ですので、他人と判断されます。
つまり、廃車手続きにおいては、本人が手続きを行う以外の場合は、すべて他人が廃車手続きを行う用の方法で進める必要があるのです。


家族だからといって油断できんのじゃ。
他人の廃車方法:自分で行う場合
それでは早速、他人名義の車を廃車にする方法についてご紹介いたします。
なお、廃車方法は自分で手続きを進める方法と、廃車買取などに依頼される2通りの方法がありますので、それぞれの方法をご紹介いたします。

準備する書類について
まずは、業者を使わずに自分で廃車手続きを行う際の書類について見ていきましょう。
この場合は、基本的には所有者本人が廃車手続きを行う場合に必要な書類と基本的には同じ書類で大丈夫です。
通常の廃車の際に必要な書類 | |
車検証 | ナンバープレート |
印鑑登録証明書 | リサイクル券 |
上記が名義人本人が廃車手続きを行う際に必要になる書類ですが、他人名義の車を廃車にする場合は上記に加えて、所有者が作成した委任状の用意が必要になります。
この委任状は、「他人が手続きしていますが、正式に代行を依頼した人だから安心してね」という証明を行う書類となります。
それだけに偽装などを防止する目的で所有者名義の実印を押印する必要があります。
当然、用意する印鑑登録証明書は所有者名義の印鑑証明である必要があります。
手続きについて
なお、実際の手続きに関しては通常の本人による手続きと同じでございます。
車を解体する場合は永久抹消登録となりますので、先に車を解体工場に持ち込んでリサイクル券の半券と解体報告記録日を受け取り、その他の書類と併せて運輸支局にて永久抹消登録の申請手続きを行います。
車の解体を行わずに、家族や知人に譲渡する場合は一時抹消登録となりますので、ナンバープレートを外して運輸支局に書類と一緒に持参しましょう。
他人名義の廃車方法:買取を使う場合
続いては他人名義の車の廃車を、廃車買取などの代行業者を使う場合について見ていきましょう。
この方法に関しては、他人名義の申し込みとなりますが、ほとんど手放しになりますのでメチャクチャ簡単な方法となります。
準備する書類について
まずは、前述でのご紹介方法と同様に、準備が必要な書類について見ていきましょう。
ただ、廃車買取業者などを利用する場合も、用意が必要な書類はほとんど同じです。
廃車買取の利用時に必要な書類 | |
車検証 | ナンバープレート |
印鑑登録証明書 | リサイクル券 |
委任状 | 譲渡証明書※業者による |
業者に申し込みされる場合も、所有者本人ではなく業者が手続きの代行を行うので、本人の実印付きの委任状が必要になります。
また、業者によっては廃車手続きを行う前に、名義変更により自動車税の課税を優先して止めてくれる措置を取ってくれる業者もいますので、そういった業者の場合は別途譲渡証明書の提出も必要になります。

ただし、ここでの注意点は用意する印鑑登録証明書も委任状に押印する実印も、本人もしくはその家族に用意してもらう必要がありますので、そこは気をつけましょう。
手続きについて
廃車買取などの業者に申し込みされる場合、基本的な流れは以下のようになります。
手続きの流れ
- 業者に申し込み
- 書類の準備
- 車と書類の引き渡し
- 買取額の入金
なので、他人名義の車の廃車という事ですが、実質的に行う事としては1番と3番の「申し込み」と「引き渡し」の2項目くらいです。
と言いますか、廃車買取業者を使って廃車手続きを行われる場合は、他人に頼まなくても自分で頼んだ方が手間的には楽です。
もちろん事故などで入院している場合は、車の引き渡しなどを友人に頼むことになりますが、それ以外の申し込みなどは本人が申し込みして、引き取りの立会いのみ他人に頼んだ方が合理的でしょう。
他人に廃車を頼む時に確認しておきたい事
ここまでが、他人に廃車の手続きを依頼する際の方法となります。
基本的に自分で行う方法と大差なく、1〜2枚の書類が増えるのみとなります。
ただ、他人に廃車を頼む際には1点、事前に確認しておきたい項目があるのです。
税金の還付金について
あまり聞きなれない言葉かと思いますが、車を廃車にした場合、時期によっては今まで払ってきていた税金の一部を還付金として返してもらう事が出来ます。
一時抹消登録であれば自動車税のみ、永久抹消登録の場合は自動車税と重量税の2つの税金の還付金を受け取る事が可能です。
この還付金に関しては、運輸支局での廃車申請の手続きの中に、その還付金の申し込み項目も含まれております。
具体的な還付方法は各都道府県によって異なりますので一概には言えませんが、この廃車手続きの際に口座情報を記入して、還付金を自動的に登録した口座に振り込みさせる方法もございます。
還付金の受け取り口座を事前に確認
そして、ここで事前に確認したい内容というのが、その口座情報です。
前述でご紹介した通り、準備が必要な書類の中には所有者の銀行口座の通帳などは含まれておりませんので、当日運輸支局で「口座情報が分からないから手続きを進められない!」という事態にもなりかねないのです。
また、基本的には大丈夫かと思いますが、依頼する「他人」がこっそりと自分の口座情報を入力して、還付金を受けとってしまう可能性も0ではありませんので、還付金の受け取り権利が誰にあるのかも事前に確認しておくべきでしょう。

以上が他人が廃車手続きを行う際の方法と、その際の注意点になります。
業者を使わずに手続きを希望している場合は、家族や友人に代行を頼むことになりますが、業者を使う場合は正直他人に依頼されずとも手続きを進める事が出来ますので、引き取りの立会いのみ誰かに依頼しておきましょう。
最悪、車が自走可能なものであれば、立会いなしでもOKをもらえる業者もいますので、ここは臨機応変に対応していただければと思います^^